つばさの行方

鳥になりたい。あの翼があればどこにだって行けるのに…
空を見上げ、呟く俺の肩に一羽の鳥が止まった。
「アナタ！今鳥になりたいって言った？バカ言わないで！」
鳥が俺に説教してきた。えっ？何で？
「アナタが飛べないのは自堕落な毎日で体に余計な贅肉が付いたからでしょう！鳥は空を飛ぶために体を軽くしているのよ！アナタもダイエットして体を軽くしなさい！」
俺は鳥に言われるがまま、ダイエットを始めた。
「目指せ細マッチョ！」
ジム通いを始めた俺は同じように肥満体を抱えた仲間達と励まし合い、過酷なダイエットを乗り切った。
そして現在、俺は仲間達と一緒に減量アイドルとしてデビューした。
世界へと羽ばたく翼を手に入れた俺達は有頂天だった。
「ちょっと！天狗にならないで！鳥になりたいんでしょう！」
おっと、危ないところだった。
俺達はこれからも飛ぶ方向を間違えないよう、先頭を行く渡り鳥の背についていく。