ノウズ・ボイコット

13
19

ゾウたちが不機嫌なのはわかっていた
私がショーで酷使しすぎたせいだ
いつも指示通り動いてくれていたのに、今日初めて首を横にふった
それだけじゃなく、鼻を顔の中にしまい、何の特技も見せてくれなかった

閉園後
私はゾウ小屋を訪ね、ボスゾウと喋った

「鼻リンゴとか水噴射とか、同じパターンばっかりで飽きたんですよ。これではスキルが上達しません」
ゾウが言った
「それに……」
「それに?」
「実はぼく、鼻が個性だとは思ってないんです。こんな先天的なものじゃなくて、頑張っている所を見て欲しい。歌も練習してるし」

個性を他人に決めつけられ、それを生かすことを求められる
人間界にはよくあるが、まさか動物界にも存在するとは


翌日
ゾウたちは再び鼻を顔の中に閉まい、ショーに出た
お客はシラケて帰ってしまい、園長にはこっぴどく叱られた
隣の檻を覗くと、首を折りたたんで歩く、やる気のないキリンがいた
ファンタジー
公開:20/01/24 20:35

西木( Tokyo/Tokushima )

ここで全てを生み出しています。
最近のSSGのレベルの高さに驚愕しております。

https://twitter.com/fabian_westwood
https://note.com/fabian
 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容