ずっと、忘れない

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家に帰った里江は、着替えもせずにバッグの中から一枚の名刺を取り出した。微かなため息が漏れる。

中学卒業後10年ぶりに会う友達は、里江を見ても、誰も彼女だとは判らなかった。中学の頃の里江は、小太りでニキビのひどい地味な女の子だったが、10年の歳月は彼女を美しくほっそりとした女性に変身させた。そんな里江を男どもは放っておかない。あれこれとうるさいなか、当時憧れていた彼が、別れ際に電話番号を書いた名刺をくれた。連絡待ってるから、と自信たっぷりの一言を付けて。

…亮介君、今も格好いいままね。私、昔あなたに憧れてたの。なのにあなたはみんなの前で言ってたよね。『あいつと付き合うぐらいなら、死んだ方がマシだぜ』って。何度も何度も言って、笑ってたよね。
ふふ、叶えてあげられるかしら。

里江は赤いペンを手に取ると、名刺に小さな字でびっしりと隙間なく『死ね 死ね 死ね 死ね 死ね…』と書き込んでいった。
ホラー
公開:20/01/23 19:27
更新:20/01/23 19:50
勝手にホラー修行週間 目標4作品 何とか3作め この頃の男の子って結構残酷

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnote・TALES・公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・第2回 日本おいしい小説大賞 最終候補(小学館)
・第31回やまなし文学賞 佳作『雨を知るもの』
・創作大賞2025 入選 『栗と牡丹』
・SSアンソロジー『ベリショーズ』寄稿
・ホラーアンソロジー『ウタ・カタ』寄稿

【刊行】
・第31回やまなし文学賞受賞作品集(山梨日日新聞社)
・栗は月色、こがね色 和菓子処長月堂(朝日文庫)
 

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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