ドリアード(2)

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「不意打ちとは卑怯だな、兄さんは悲しいぞ」
育美を後ろに隠し、なんでもないように語りかける。
「歯を鳴らしながら言っても説得力ないよ。そこどいて、そいつ殺せない」
「お前、育美のことを姉と慕ってたんじゃなかったのか?」
「そんな泥棒猫、どうでもいいよ。兄さんの手前そう見せてただけ」
育美が震えているのが体を通して伝わってくる。

「じゃあ、交換条件にしましょう。兄さんがこちらに来ればあの女は見逃す。それでいい?」
「わかった」
うなだれたように見せかけつつ、俺は育美に目配せをした。
そのまま両手をあげて一歩、一歩。這うように夏菜子の方へと移動する。
夏菜子は緑がかった顔からゾンビのように緑色の汁を垂れ流している。
どうやら俺がご馳走に見えるらしい。

そして、あと数歩というところで隠し持っていたナイフで斬りかかる。
「!?」
鋼鉄をも曲げる蔓を俺はチーズのように夏菜子ごと切り払った。
SF
公開:20/01/25 10:36
更新:20/01/25 10:40

ばめどー

ぼちぼちやっていこうと思います。
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