ショート落語「俺の耳に馬の念仏」

28
18

「何が調教絶好だよ!あー当たんねぇな…」
競馬場でクダを巻く男。この男、馬は好きだが馬券はさっぱり。下手の横好きってヤツ。
「そもそも調子なんて人間にわかりっこねぇ。馬に直接話聞くしかねぇやな」
パドックで新聞見ながら呟いていると
「おい、オッサン」
顔を上げると3番の馬がこっちを見ている。
「まさか…馬か?」
「話聞きてぇっていうからさ…このレース、俺勝つよ」
「え?」
「ここを目標にしてきたんだ」
「…ありがとな!」
馬が言うなら間違いねぇ、と3番の単勝に有り金をぶち込んだ。
さぁレースが始まる。3番の馬はスタートすると…騎手を振り落としてこっちへ向かってくる。
「バカッ!何やってんだ!」
「オッサン!俺、人間に勝った!いっぺん自由に走りたかったんだよな!」
「そういうことか…」
「おい、コミさん!アンタが勝つ勝つって言うから3番買ったんだぞ!」
「いや、面目ない…俺の懐がカツカツだ」
その他
公開:20/01/25 10:20
更新:20/02/17 01:11
むうちゃぶり 馬と話せたオッサン(落語調)

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00

株式会社ベルモニー Presents ショートショートコンテスト 入選 「とんでかえる」

隕石家族×ショートショートガーデンコラボ 小惑星賞 「詠み人家族」

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容