おれは探偵

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おれは探偵だ。親から娘の行動調査を依頼されている。
「年頃を迎えた娘の帰宅が遅くて困っている。何度聞いても教えてくれない。悪い男にだまされているのではないか。だから調べて欲しい」
どこにでも転がっている、よくある話さ。
おれは尾行を開始した。校門を出た娘が繁華街へ向うのをみて、少し嫌な予感がした。
案の定、カラオケ店の前を通りかかったとき、大学生風の男三人組にナンパされた。三人組みはかなりしつこい。おれはどうすべきか悩んだが、電柱の影に身を潜めて様子を見る。
娘はなんとか切り抜けたようだ。かなり怖い思いをしたのだろう。周囲をうかがうと、そのまま交番に駆け込んだ。
この様子なら大丈夫だ。おれは娘が交番からでてくるのを待ちながら、依頼主への報告書の文面を考え始めた。

そのころ、娘は探偵を指さしながら警察官に訴えていた。
「変な人に後を付けられています。きっと、ストーカーです!」
ミステリー・推理
公開:20/01/25 06:14

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