つばさの行方

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貸した本を返してもらいに友人の家に行った時の事だ。
友人の部屋の窓から鳥の様なものが飛び立った。アイツ、鳥なんて飼っていたかな?
それに私の見間違いでなければ、先程飛び立った鳥の様なものは本に見えた。
本がページ紙を翼のようにバタバタと羽ばたかせていた。
きっと私は疲れているんだろう…友人から本を返してもらって早く帰るとしよう。
「ああ、あの本ね。ちょっと待ってて」
数分後
「あれ~、おかしいな…ごめん、今ちょっと部屋が散らかっていて本が行方不明みたいだ。今度絶対返すからもう少し待って」
私は溜息を吐くと今回だけだと釘を刺し、家に帰った。
家に帰り、本棚を見ると友人に貸していた本が本棚に挟まっていた。あれ?家を出る前はなかったはずなのに…
もしかして、私が見たものはこの本だったのだろうか?
そう考えると納得がいく。何故なら本には帰巣本能が備わっているのだから。
翼の行方は私の部屋だったか。
公開:20/01/22 18:36

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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