わたってはいけない

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「ボク、だめよ!」
小さな男の子は腕を掴まれてきょとんとした。
「この歩道橋はだめよ。向こうの横断歩道を渡りなさい」
男の子はにこりと笑った。
「平気だよ」
と言うが早いか、階段を駆け上っていった。近くにいた人はみな息を呑んだ。

―以前この歩道橋で、育児に疲れた母親が我が子を投げ落とす痛ましい事件があった。それ以来、この歩道橋を渡ると三日以内に亡くなる人が続出したため『呪いの歩道橋』と呼ばれ、誰も渡らなくなったのだ。
だが、その後も男の子は元気なままだった。どうやら呪いはとけたらしいと聞き、お調子者の男がふざけて歩道橋を渡ったが、またもや翌日に交通事故で亡くなった。

謎と不安が深まるなか、今日も男の子が歩道橋に現れた。ぴたりと足を止める周りの人々にも構わず渡っていく。
「ママ…」
「あの子どうして…絶対渡っちゃだめよ」
女の子は母親を見上げた。
「うん…でもあの男の子…影がなかったね」
ホラー
公開:20/01/21 19:28
更新:20/01/21 19:41
勝手にホラー修行週間 目標4作品 これで2作目

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnote・TALES・公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・第2回 日本おいしい小説大賞 最終候補(小学館)
・第31回やまなし文学賞 佳作『雨を知るもの』
・創作大賞2025 入選 『栗と牡丹』
・SSアンソロジー『ベリショーズ』寄稿
・ホラーアンソロジー『ウタ・カタ』寄稿

【刊行】
・第31回やまなし文学賞受賞作品集(山梨日日新聞社)
・栗は月色、こがね色 和菓子処長月堂(朝日文庫)
 

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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