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「ボク、だめよ!」
小さな男の子は腕を掴まれてきょとんとした。
「この歩道橋はだめよ。向こうの横断歩道を渡りなさい」
男の子はにこりと笑った。
「平気だよ」
と言うが早いか、階段を駆け上っていった。近くにいた人はみな息を呑んだ。
―以前この歩道橋で、育児に疲れた母親が我が子を投げ落とす痛ましい事件があった。それ以来、この歩道橋を渡ると三日以内に亡くなる人が続出したため『呪いの歩道橋』と呼ばれ、誰も渡らなくなったのだ。
だが、その後も男の子は元気なままだった。どうやら呪いはとけたらしいと聞き、お調子者の男がふざけて歩道橋を渡ったが、またもや翌日に交通事故で亡くなった。
謎と不安が深まるなか、今日も男の子が歩道橋に現れた。ぴたりと足を止める周りの人々にも構わず渡っていく。
「ママ…」
「あの子どうして…絶対渡っちゃだめよ」
女の子は母親を見上げた。
「うん…でもあの男の子…影がなかったね」
小さな男の子は腕を掴まれてきょとんとした。
「この歩道橋はだめよ。向こうの横断歩道を渡りなさい」
男の子はにこりと笑った。
「平気だよ」
と言うが早いか、階段を駆け上っていった。近くにいた人はみな息を呑んだ。
―以前この歩道橋で、育児に疲れた母親が我が子を投げ落とす痛ましい事件があった。それ以来、この歩道橋を渡ると三日以内に亡くなる人が続出したため『呪いの歩道橋』と呼ばれ、誰も渡らなくなったのだ。
だが、その後も男の子は元気なままだった。どうやら呪いはとけたらしいと聞き、お調子者の男がふざけて歩道橋を渡ったが、またもや翌日に交通事故で亡くなった。
謎と不安が深まるなか、今日も男の子が歩道橋に現れた。ぴたりと足を止める周りの人々にも構わず渡っていく。
「ママ…」
「あの子どうして…絶対渡っちゃだめよ」
女の子は母親を見上げた。
「うん…でもあの男の子…影がなかったね」
ホラー
公開:20/01/21 19:28
更新:20/01/21 19:41
更新:20/01/21 19:41
勝手にホラー修行週間
目標4作品
これで2作目
2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません
【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)
【近況】
第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞
【note】
https://note.com/akishiba_note
【Twitter】
https://twitter.com/CNecozo
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