どこかにある夢の国

ぼくは急いでいるんだ。早くそこに行かないと。どこにあるかわからないけれど、とにかく西の方へ行ったらたどり着けるって言われたよ。

でも、ぼく、ちっちゃいからそこまで行けないかもしれない。

それでね、とちゅうで眠っちゃったら、その子はエノコログサになっちゃうんだって。

喉が乾いて水を飲みに行って、そこで力尽きちゃった子はネコヤナギになるんだって。

花穂ができたら、他の子にくっついて、またそこへ行けるかもしれないって。

時々はネコアゲハになって飛んでいく子もいるらしいよ。

とにかくぼくは急いでるんだ。その国に行ったら、偉い王様が、ぼくたちを猫又っていうのに変えてくれるんだって。

そうしたら、いつまでもずっとゆきちゃんのそばにいられるよね。

「ごめんね、さよなら」

って言われて、箱に入れられてどこかに置かれたけれど、きっと待っていてくれるよね。だからがんばらなくちゃ。