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いつものようにシャワーを浴びた。だがシャワーに勢いがない。
給湯器の寿命を疑ったが、カランからの勢いには衰えを感じず、湯の温度も安定していた。一人暮らしなので、誰かが同時に湯を使っているということもありえない。となれば……
私は湯を止めて、シャワーヘッドをよく見てみた。すると、放射状に並んだ一つ一つの小さな穴から、白い石のようなものが、おろしがねの刃のように飛び出していて、それが穴の三分の一を塞いでいた。
私はそれをスチールウールでこそげ落とし、ついでにと、シャワーヘッドを分解してみた。内部には昭和50年の10円玉が嵌め込まれており、その10円玉もやはり白い石に半ば覆われていた。
その10円を、ボタン電池の要領で取り外すと、凹み部分に「10」と書いてある。私はそこに平成28年の10円玉をセットしてみた。
これがメーカー推奨の方法なのかどうかは不明だが、シャワーの勢いは復活した。
給湯器の寿命を疑ったが、カランからの勢いには衰えを感じず、湯の温度も安定していた。一人暮らしなので、誰かが同時に湯を使っているということもありえない。となれば……
私は湯を止めて、シャワーヘッドをよく見てみた。すると、放射状に並んだ一つ一つの小さな穴から、白い石のようなものが、おろしがねの刃のように飛び出していて、それが穴の三分の一を塞いでいた。
私はそれをスチールウールでこそげ落とし、ついでにと、シャワーヘッドを分解してみた。内部には昭和50年の10円玉が嵌め込まれており、その10円玉もやはり白い石に半ば覆われていた。
その10円を、ボタン電池の要領で取り外すと、凹み部分に「10」と書いてある。私はそこに平成28年の10円玉をセットしてみた。
これがメーカー推奨の方法なのかどうかは不明だが、シャワーの勢いは復活した。
その他
公開:20/01/23 09:30
Mignonさんによる
写真ACからの写真
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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