侵蝕

ある日気づいてしまった。
僕の左側の色が変わっていっているのを。

今日は席替えの日だ。
インフルエンザが流行っているからか、休みの人もいたけど無事席替えは行われ僕は南の窓際の席になれた。しかも一番後ろだ。
僕は早速、席に座り外を眺める。四階から見える景色は、校庭と色んな形の家々。あれ、景色の奥の方が黒い。黒い？！　何でだ？
それは僕の席からしか見えず、他の人は気づいてなかった。

日に日に僕の左側は、黒い色が迫ってきていた。
皆は何も思わないのか？　そうか見えてないんだ。
職員室に行った時、「南ヶ丘地区と内山田地区の生徒の休みが多くないですか？」「連絡とれない子もいるみたい」秘密の話が聞こえた。
黒くなってる地域だ。

恐る恐る自分の席から外を見ると、それはすぐそこまで…
黒い色は、正門をくぐると急に勢いを増し校舎を覆い尽くすまでの高さになった。

僕、もう家に帰れないかもしれない…