ドブ川の魚

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昭和50年代、当時小学生だった私達はドブ川で魚を釣って食べようと盛り上がった。川は汚いが魚は居るのは知っていた。新鮮ならお刺身も食べれるかも知れないと思った。
放課後、ミミズを結わえつけただけの木の棒を垂らすと、魚が釣れた。それはもうバカみたいに次から次へと釣れた。二人で30匹は釣っただろうか。家から持ってきたバケツに入りきらなくなって終わりにし、ホクホクと家へと帰った。
母に「魚を釣ってきたからお刺身にして欲しい」と伝えると、嬉しそうにバケツを覗く。
「あんたこれどこで釣ってきたの?」
母が絞り出すような声で聞いた。
「ドブ川だよ」
結局、釣ってきた魚を食べなかったし、その後も食べる事はなかった。
母が警察へ電話している間に、バケツを覗きこむと、そこにあった筈のバケツいっぱいの魚は居らず、バラバラになった手足や何か肉片が、そこにはあった。

それ以来、いまだに魚は苦手で、見るのも嫌だ。
ホラー
公開:20/01/23 00:28

右左上左右右

アイコンは壬生野サルさんに描いて頂きました。ありがたや、ありがたや。

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