運命の逆ナン（後編）

さあ、映画だ。終盤、ヒロインのキスシーン。どんな顔で見ているだろうと女を見たら、こちらを見た。やばい、キモいと思われる！
すると、今日一番の笑顔。僕の幽体離脱した魂が、一回転して後方へのけぞった。
場内が明るくなり、出口へ進む時間を迎えた。僕は、ゆっくり歩く。歩きながら、出口がもっともっと遠くにあればいいのに思っていた。すると、
「君、もしかして、寂しいと思ってるでしょう。私はね、全然思ってないよ」
と突然、女に言われた。僕の幽体離脱した魂はあごを強打され、魂ごと左へ一回転。床へ倒れた。
女が、そんな僕に抱きつき、一周回った。もしかしてツンデレ？　女の本当の気もちは分からないが、彼女のぬくもりに今、僕が嬉しいと思っていることは分かる。彼女が言った。
「合格。メリーゴーランドのように、スリルはないけど、幸せな気もちになれる人生をあげる」
彼女とは、ここで別れた。連絡先を交換したのが、やばい。