恋餌(こいじ)

「知ってる？　学校の近くに神社があるでしょ。あの境内の隅に小さな祠があるんだけど、恋のお願い事に凄いご利益があるんだって」
「そうなの？」
茉莉奈は興味深そうに聞く。
「私、直接そこの宮司さんに聞いたもん。茉莉奈、学校で人気の谷口君好きなんでしょ。学校一モテ女のエリカも狙ってるって聞いたからさ。あの子性格悪いんだもん。それなら親友の茉莉奈とうまくいってほしいじゃん」

放課後、茉莉奈は神社を訪れた。境内を探すと小さな祠は隅にひっそりと佇んでいる。
「谷口君と付き合えますように……エリカには渡さない。怪我でもしちゃえばいいのに！」心の中でそう唱える。

しばらくすると茉莉奈は学校に来なくなった。

「あの話には続きがあってね、祀られてる女性は昔、自分の許嫁を好きになった嫉妬深い女に殺されたんだって。だから人の恋路を邪魔するようなお願いをすると…喰われるんだよ。これで邪魔者がまた減った…」