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祖父は亡くなる前、俺に猫を預けた。こいつは猫又で長靴をはいた猫みたく口が立つ。
俺と猫又はえらく気が合った。同じ煙草の銘柄が好きで、酒は嗜む程度に飲む。
俺は人付き合いが得意な方ではない。祖父が亡くなった時も俺は遺産として猫を引き取り、金目の物を意地汚く奪い合う親族を横目にさっさと葬式を後にした。
そして猫又と二人で祖父を送り出した。猫又が線香の代わりに煙草を立て、二人で大笑いした。
その後、猫又は暫く出かけると言って家を出た。
どこに行くんだ?そう聞くと「爺さんを天国に送って行く」なんて答えた。
一人になりたい時もあるだろう。俺は猫又を送り出した。
そして猫又は帰ってこなかった。
猫又は祖父を天国に送り届け、向こうに住むことにしたようだ。
そう手紙に書いてあった。
猫又と会えないのは寂しいが手紙のやり取りは今も続いている。
俺はいつも手紙に日本酒を添えている。天使のわけまえって奴だ。
ファンタジー
公開:20/01/19 18:16

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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