1秒の恋

24
15

先生からクラス全員に卒業したらあの子が引っ越して別の中学に行くことを告げられた。

心臓を抜き取られ全身が凍りついた。
冷たい海底からは揺らめく海面が映るだけで何も入ってこない。
悟られないようにするなんて無理だったが、みんな先生やあの子を見ていたから気付かれなかった。

この想いを伝えたい!
千切れそうな胸の内を!
その日から俺はこれまで以上にあの子を見ていた。
正面からなんて無理だから記憶にあるのはいつも授業中の横顔だけ。
今日は髪の毛を耳にかけていたな。

ある日の授業中。あの子と目があった。
俺は顔が熱くなって目を逸らした。
次に見た時、あの子の耳と頰は真っ赤だった!

え⁈俺の胸は飛び出した!

それから毎日、目を合わせてはお互いに顔を紅くする日が続いた。
鼓動は幸せの刻を奏でた。
いつも1秒だけ。
それ以上はお互いに無理だった。
いつもいつも1秒だけ。
卒業式まで1秒だけの恋。
恋愛
公開:20/01/19 07:28

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
 勉強になりますので、どのようなことでもお気軽にコメントいただけると嬉しいです。厳しいご意見もお待ちしております。
 どうかよろしくお願いいたします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容