十二杯の年越しそば

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昨夜、12月31日のこと。
会社の同僚と近くのわんこそば屋で年越し蕎麦を食べることになった。
看板には「一杯食べて年を越そう」と書いてあった。
一杯では満たされず二人とも十二杯も食べた。二人で店を出た。もうすぐ年が明ける。家に帰り、一人年越しの準備をした。そう、あれが数時間前の話のはずなのだ。俺は眠ってしまった。目を覚ましたのは一緒に食べたあいつからの電話だ。
「もしもし明けましておめでとう」
俺はそう言った。すると思いもよらぬ返事が来た。
「おめでとうじゃないよ。お前に繋がってよかった。今、令和二年だって。どうなってんの?俺の家族もいないんだよ」
俺はテレビを付けてみた。
新春テレビがやっている。令和二年明けましておめでとうだって…何故なんだ?令和?2020年?今日は2009年の一月一日じゃないのか?ここはまだ俺の家なのか?その時サイレンの音がした。テレビでは漫才師たちが笑いあっている。
ホラー
公開:20/01/20 21:20
更新:20/01/21 02:01

いーぽん

空想ばかりしてる19才です
普段はもう少し長めのショートショートをインスタグラムで投稿してます。

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