無重力予想図Ⅱ

人類が秘密裏に交流を開始してから、もう三度目の春。

相変わらずそばにある同じ笑顔。眉間にシワを寄せるから、最初は怒ってるのかと思ってた。でも彼の星では、それが「嬉しい、楽しい、大好き」って表現なの。

最初はJETでとばした地球までの道のりも、今は星を見ながら宇宙旅行を満喫できる。帰りは念じるだけで瞬間移動だもん。すごいわ、彼の最終形態の能力は。

私を地球に降ろした後、宇宙船の窓越しに彼はいつも瞳を赤く五回点滅。「ア・イ・シ・テ・ル」のサイン、ちゃんと伝わってるよ。

彼となら、きっと何年経ってもこうして変わらぬ気持ちで過ごしてゆける。言葉が通じないとか、何本が手で何本が足なのとか、会うたびに何度でも血を抜かれるとか、そんなの些細なこと。

ずっと心に描く無重力予想図は、ほら、思った通りに叶えられてく。


「……いや、浮いた話って、物理的な意味で？」
ホント発想が宇宙人ねぇ、ミワは。