無重力競泳場

星間連絡船に乗って、おれは宇宙を旅してしいた。今は月旅行が当たり前になっている。

船内にはギャンブル施設もある。無重力空間を特殊なフィンで泳ぐ競泳選手の着順を当てる競泳場だ。そこには競泳の予想屋がいた。
「そこのお兄さん。予想図買いなよ」
「予想図？」
その予想屋は競泳選手の着順予想図を売っていた。選手たちのデータからどの選手がどのコースを攻めるなど図式で予想してあった。「よし買った」

予想図は全レース見事に外れた！
その悔しさは冷静さを無重力にしていた。
おれは競泳に大金を注ぎ込み、旅費まで使い果たしてしまった……。

それがわかると無賃乗船者とされ、宇宙船に繋がれ、競泳選手として宇宙の海で調教された。ギャンブルに失敗したやつらが他にも泳いでいた。いづれ競泳選手に育てるらしい。

あの予想屋が船内で笑って見ていた。ワナにはめられたのだ。
すべてを失った俺は、もはや無重力でしかない……