仮装通貨

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 手持ちの現金は少ないけど、ハロウィンには参加したい。だから仮面だけ作って街へ。
 人々の幻想的な仮装を眺めていると、仮面をつけた人に声をかけられた。
「いい仮面だね。手作り? こっちの仮面5枚と交換しない?」

 受け取った仮面の1枚でバーガーを買う。あちこちで仮面が取引されたり、仮面で買い物したり。
 皆が仮装し仮面を付けていても、希少な仮面、よい仮面こそ、幻想の時間の主役。誰もが欲しがる。

 もう1枚の仮面で買ったフラペチーノを飲みながら、先刻の仮面の人に尋ねた。ずいぶん仮面を増やしている。
「仮装が流行らなくなったら価値が下がるんじゃない?」
「通貨の価値なんて、信用という名の共同幻想でしょ。日銀がハロウィンの伝統より長く続くと言いきれる?」

「それにこの通貨のメリットは」増やした仮面から次の1枚。仮装の人々の中、姿が追えなくなり、最後の言葉が残る。「完璧な匿名性」
SF
公開:20/01/20 17:46

techtech

のんびり書いていこうと思います。
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