スウィンギン無礼

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「部長、その炯眼、おそれ入ります!」

「いや君ね、私はいま、注意しているんだよ。慇懃無礼っていうのかな。君のコトバね、なんかこう、人を苛立たせるんだよなあ」

「…仰っている意味がよく分からないのですが」

「ほら、それだよ。内容だけで充分失礼なのに、仰るとかってのが余計にさあ」

「のたまう、ですかね?」

「君…なかなかだね」

だろ?いつから側にいたのか、部長の耳元で社長が囁いた。きっと、そう思うだろ?の、だろ、だろう。

部長は自らの心に問いかけた。するとそこには怒りなどなく、むしろ可笑しさ、いや、若干の好意すら見え隠れしていた。

「慇懃もここまで来りゃ、スウィンギンだ!」

突如、頭に響き渡るホーンセクション。なるほど。何事もスウィングしなきゃ…か。まさに眼から鱗。部長は感動して、社長に頭を深々と下げた。

「いや、君はね、まだ全然振り切れてないな。それはただの慇懃プレイ…」
その他
公開:20/01/20 13:13

糸太

400字って面白いですね。もっと上手く詰め込めるよう、日々精進しております。

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