カツで勝つ!(受験前夜は消化の良いものを食べましょう)

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「母ちゃん、カツ丼まだ?」
「今作ってるよ!今夜のために考えた特製の火薬をたっぷり仕込んであるからね!」
明日は俺の、高校受験本番の日。受験前夜にどこの家でも食べる特別なカツ丼。派手に爆発させれば必ず受験に合格するのだという。
勉強も体調管理も万全。あとは母ちゃんの作ってくれるカツ丼を食べて、受験に勝つ。カツだけにな!
「さあ、できあがったよ!」
家族そろって食卓につく。母ちゃんが、バチバチと火花を散らせるカツ丼を運んでくる。
「これで受験もバッチリだな」
父ちゃんがそう言った瞬間、机の上に乗せられたカツ丼が火を噴いた。ドオン!というすごい音を立てて天井まで火柱が立つ。一階の天井が崩れ、バラバラと木や建材が降ってくる。
「……吹っ飛んだね、天井」
妹が箸を持ったまま俺の顔を見る。
「受験って、お金がかかるんだねえ」
爆発で前髪がチリチリになった母ちゃんが、お茶をすすりながらそう呟いた。
その他
公開:20/01/20 11:33

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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