スノークリスタル

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ある豪雪地帯の田舎町。ここに住む地方の高校生も大学受験を間近に控え、最後の追い込み時期だ。
この田舎町出身の受験生は、都会のように予備校や進学塾がない不利な条件にもかかわらず、志望する大学への現役合格率が高いことで知られている。
過疎化に伴う少子化で地元の公立高校の指導が行き届き、通っている生徒も真面目で勉強熱心であることが挙げられるが、一番の理由は他にある。
苦労して勉学に励み合格という功績を成し遂げることを「蛍雪の功」というが、この田舎町では実際に蛍雪が降る。この雪明かりを特殊なガラスで集光したスノークリスタルをお守りとして受験生が持参しているためだ。
スノークリスタルは、入学試験当日に燦然と輝いて受験生の心を落ち着かせる。そのお蔭で緊張することなく平常心で問題に取り組め、実力を思う存分発揮できる。
そして合格発表の日。スノークリスタルの中では、満開の桜の花びらが咲き誇っているという。
青春
公開:20/01/18 00:39
豪雪地帯 田舎町 高校生 大学受験 予備校 進学塾 蛍雪の功 入学試験 合格発表 サクラサク

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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