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今朝開いた姫椿が、良い風情だったので。冬の晴れ間の外出には十分な理由だった。
花弁の詰まった八重咲きの群れに一輪、金冠を抱いた半八重の花。椿の仲間は、気まぐれに枝変わりするから、形や色が他と違う事は珍しくない。平たく言えばバグだけれど、そこが味で面白み。剪定でせっかくの枝を落とさない様、紐を結んで目印を付け、ホームセンターへ買い物に。
園芸用のタグを買い、先の姫椿をかまってやろうと庭へ。
……ん?
紐を結んだ枝の隣に、半八重が咲いている。うっかり間違えたか。再度位置を確かめ、タグを付けようと触れた拍子、ぼたりと落ちた。
散らしてしまった……。罪悪感と無念さに気が沈む。地面に伏せた奇遇の花を掬い上げる。
ふいと掌を逃げた花が、くるくる回って風に乗り、別の樹へ着地。今度は白花の群れに、紅の半八重が一輪咲いた。
以来、枝変わりの花を見掛けると、つい指でつついて、飛ばないか確認したくなるのだ。
花弁の詰まった八重咲きの群れに一輪、金冠を抱いた半八重の花。椿の仲間は、気まぐれに枝変わりするから、形や色が他と違う事は珍しくない。平たく言えばバグだけれど、そこが味で面白み。剪定でせっかくの枝を落とさない様、紐を結んで目印を付け、ホームセンターへ買い物に。
園芸用のタグを買い、先の姫椿をかまってやろうと庭へ。
……ん?
紐を結んだ枝の隣に、半八重が咲いている。うっかり間違えたか。再度位置を確かめ、タグを付けようと触れた拍子、ぼたりと落ちた。
散らしてしまった……。罪悪感と無念さに気が沈む。地面に伏せた奇遇の花を掬い上げる。
ふいと掌を逃げた花が、くるくる回って風に乗り、別の樹へ着地。今度は白花の群れに、紅の半八重が一輪咲いた。
以来、枝変わりの花を見掛けると、つい指でつついて、飛ばないか確認したくなるのだ。
ファンタジー
公開:20/01/17 23:43
更新:20/01/17 23:46
更新:20/01/17 23:46
枝変わり:分枝過程の突然変異
姫椿は、本作ではサザンカの別名
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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