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ある真冬、甲羅のような鎧を身にまとい、巨大な魔物が住むという世界に入り込んだ俺は、空が真っ赤に染まる荒野を左に曲がっては右へ、右へ曲がっては左へジグザグに進んでいた。
荒野とはいうものの、大地は西部劇の舞台のように砂塵が舞うこともなく、絨毯の上を歩いているかのようにフカフカとして柔らかい。
ただ時折、この荒野に出現する巨大な魔物の足が行く手を阻むので、そのときは避けるようにジグザグに進む。
あれから何日ぐらい俺の習性である交替性転向反応でジグザグに進み続けただろう。そのあいだ荒野は、突如、真っ暗になったり、また再び空が赤色の光線を発したり、そのたびに温度差もかなりあるようだ。そして時折、巨大な魔物の足から凄まじい悪臭が放たれることもある。
そうそう、言い忘れていたが、俺は、この巨大な魔物から「ダンゴムシ」や「ワラジムシ」と呼ばれている。そして、この荒野を「こたつ」や「おこた」と呼ぶらしい。
その他
公開:20/01/19 06:32
真冬 甲羅 魔物 荒野 西部劇 絨毯 習性 交替性転向反応

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育ち、大学時代は京都(御所の近く)、大学院時代は湘南(海ではなく山側)で過ごす。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年06月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。

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