赤い何かに連れられて

24
15

電車の中でスマホを触りながら、ふと何かが気になって目を上げた。いつもと同じはずの車内をゆっくり見渡す。
…偶然か?
向かいの女性は赤いコート。隣の青年は赤いスニーカー。前に立つ男性は赤いマフラー。乗客が全員『赤い何か』を身につけている。それだけか?いや、まだ何か…。
―そういえば、さっきから客が降りない。
駅に着くと誰かが乗ってくる。『赤い何か』を身に纏った誰かが。でも誰一人降りない。
何か変だ。
そこそこ客はいるのに静かすぎる。
ちょうど電車が駅に着き、俺は急いで立ち上がった…扉が開かない?
視線を感じて振り返ると、乗客が全員俺を見つめていた。彼らをかき分けて運転席に駆け寄り、必死に窓を叩いた。
振り向く運転士を見て息を呑む。
制服が、赤い…。
運転士は憐むような笑みを浮かべ、電車を発進させた。
急激に上がる速度。
遠くに見えてくるトンネル。
俺の白いシャツがゆっくりと赤に変わり始めた。
ホラー
公開:20/01/19 07:00
更新:20/01/21 20:26
久々の電車通勤から着想 冬の車内はなんか暗い 勝手にホラー修行週間 目標4作品 まずは1作め

秋田柴子

2019年11月より、SSGの庭師となりました。
現在SSから長編まで幅広く書いております。

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞1回 入選2回
・SSG 空想競技コンテスト 入賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・SSマガジン『ベリショーズ vol.5,6,7,light』掲載(Kindle無料配信中)
https://www.amazon.co.jp/dp/B096821HSW

【近況】
 いろいろ書いてます(笑)

【note】
 https://note.com/akishiba_note
  登録なしで読めます。

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容