シャイニーリップ

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そのバーには初めて入った。
「いらっしゃいませ」店員のお姉さんがにっこりと微笑む。俺は驚いた。彼女の唇がキラキラと輝いていたからだ。リップで艶やかとかそんなレベルではない。まるでクリスマスのイルミネーションのように光り輝いている。
「ご注文は?」
あっ……眩しい。
唇もそうだが彼女の微笑みが俺の心を射抜く。しかしなぜだ、周りの人は気づいていないのか無反応だ。
「綺麗だね」と、俺が褒めると彼女は「ストレートなんですね」と笑った。
「その輝き、新種のリップ?」
「忘れたんですか。あなたがくれたのに」
その瞬間、思い出した。ホストである俺の常連客だった彼女。あんまり熱をあげてうるさいから、手切れ金のつもりで100万円もする「シャイニーリップ」を渡したのだ。店を変えたので彼女とはそれきりだった。
好きなひとを魅惑するリップ。
「また会えて嬉しいわ」
その妖しく輝く唇に、俺は既に夢中になっていた。
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公開:20/01/18 09:33
更新:20/01/18 22:51

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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