祢杏ちゃんと家族

僕は高校卒業後、大学には行かず修業をすることになった。祢杏(ねあん)ちゃんの遠い親戚がいる西シベリア南部に来ていた。おとうさんの指導は厳しく言葉少なだった。

親戚のナターシャさんの家には祢杏ちゃんの家にいたのと似たような剣歯虎が複数いた。そのうちの一頭をもらってつがいにすると聞いた。絶滅危惧種だから繁殖が大事らしい。

祢杏ちゃんとアルタイの森林を散歩するのが唯一の楽しみだった。そんな僕だが、少しずつ彼らの言葉を覚えて指示が出せるようになった。発声は不自由があるが聞くのは問題ないということで、よく口が回る僕の役目ができたことは嬉しかった。

そしてお義父さんにようやく一人前と認められた僕は祢杏ちゃんと結婚できた。

今、暖炉の前で子猫のようなケモノと遊んでいる娘が「“Pfote!”(ふぉーて)」としゃべった！ 子供の初めての言葉がそれなんて、すごい遺伝だな。将来が楽しみだ。