差しのばされた手
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「お前、ばかだな。そんなところにハマっちまって。ほら、手をのばせよ」
小学校の頃、遠足で行った鉄道公園でかくれんぼをしていた時、僕は機関車の煙突の中で身動きが取れなくなっていた。もう一生このままここで過ごすしかないのかと、べそをかいていたところを助けてくれたのが、近所のいじめっ子の山本くんだった。
高校の時に偶然再会したのは乗車率250%の電車の中。目的の駅で降りられなくなった僕に手を差しのべて引っ張り出してくれたのも、不良の学ランを着た山本くんだった。
そして今また声が聞こえる。
「ばかだなお前は。会社のためにと汚職しても自分は何の得にもならなかったのに。あげくのはてに、お前だけ自殺かよ。」
そう言って、真っ赤な池の中でもがいている僕に向かって、昇り龍の入れ墨をした手を差しのべてきたのは、あの山本くんだった。
小学校の頃、遠足で行った鉄道公園でかくれんぼをしていた時、僕は機関車の煙突の中で身動きが取れなくなっていた。もう一生このままここで過ごすしかないのかと、べそをかいていたところを助けてくれたのが、近所のいじめっ子の山本くんだった。
高校の時に偶然再会したのは乗車率250%の電車の中。目的の駅で降りられなくなった僕に手を差しのべて引っ張り出してくれたのも、不良の学ランを着た山本くんだった。
そして今また声が聞こえる。
「ばかだなお前は。会社のためにと汚職しても自分は何の得にもならなかったのに。あげくのはてに、お前だけ自殺かよ。」
そう言って、真っ赤な池の中でもがいている僕に向かって、昇り龍の入れ墨をした手を差しのべてきたのは、あの山本くんだった。
ファンタジー
公開:20/01/16 07:00
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悪人正機説
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オオカミの自信作
武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。
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