北風と雲の巣
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明日は年に一度の雪祭り。町はお祭りの準備に大忙しです。新しい晴れ着やお祝いのご馳走。家々の軒には提灯を吊るし、雪神様のお宮も綺麗に飾りました。
「……どうしよう」
お宮の祭司の六花は、青空を仰いで呟きました。例年なら町は雪化粧なのに、今年に限って雪が降りません。自分は何か粗相をして、雪神様のご機嫌を損ねたのか。六花の溜息が淡い霧を漂わせます。
これを見た北風は、空の雲が集まる雲の巣へ、雪雲を探しに行きました。巣の中を一日巡り、けれど見付かりません。南の海が熱を出し、雪雲は海を冷やしに駆り出されていたのです。
そこで北風は、巣の雲達に頼み、雲の欠片を分けてもらうと、急ぎ六花の町へ戻り、お宮の庭に振り撒きました。
翌朝、お宮にだけ積もる雪に、六花は大喜び。
「雪神様、ありがとうございます!」
髪を撫でる風が、雪の日にしては温かい事を不思議がりながら、元気良くお迎えの支度に取り掛かりました。
「……どうしよう」
お宮の祭司の六花は、青空を仰いで呟きました。例年なら町は雪化粧なのに、今年に限って雪が降りません。自分は何か粗相をして、雪神様のご機嫌を損ねたのか。六花の溜息が淡い霧を漂わせます。
これを見た北風は、空の雲が集まる雲の巣へ、雪雲を探しに行きました。巣の中を一日巡り、けれど見付かりません。南の海が熱を出し、雪雲は海を冷やしに駆り出されていたのです。
そこで北風は、巣の雲達に頼み、雲の欠片を分けてもらうと、急ぎ六花の町へ戻り、お宮の庭に振り撒きました。
翌朝、お宮にだけ積もる雪に、六花は大喜び。
「雪神様、ありがとうございます!」
髪を撫でる風が、雪の日にしては温かい事を不思議がりながら、元気良くお迎えの支度に取り掛かりました。
ファンタジー
公開:20/01/16 20:54
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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