流れ干し

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彼女と山に一泊二日のキャンプに来た。
町の喧騒を忘れ、二人静かに綺麗な夜空を見上げる。手を伸ばせば星に手が届きそうだ。
「あっ!流れ星!」
彼女が星に向かって手を伸ばす。
「ねえ見て!流れ星掴んじゃった!」
ゆっくり手を開くと彼女の手には干し椎茸が握られていた。
まさかの流れ星ならぬ流れ干し。それって仕込み?
彼女は首を振った。どうやら本当に空から飛んできた干し椎茸を掴んだようだ。
僕も流れ星を見つけ、手を伸ばす。何かを掴んだ。
恐る恐る手を開くと僕の手には干し柿が握られていた。
「危なかったね。強く握っていたら潰れていたよ」
えっ?そういう問題?
あと彼女の手には新たに干し鮑が握られている。
夜空の贈り物に干物カップルの僕らは笑い合った。

僕らは休日、殆ど家に籠っている。
でもこんなに楽しい事が起こるのなら、これからはもう少し外に出てみよう。
そしたら今度は流れ星を掴めるかもしれない。
公開:20/01/16 19:13

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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