0
2

ASTRONAUTSがひとり
暗い部屋にひとり
夢の中で広がり続ける
暗い宇宙にひとり

地球に落ちてゆく
記憶の欠片が
身体中にぶつかって
激しい音がする
血潮の色が
あぶくにうつって
地球に落ちてゆく

何処か自分の国へ帰ってゆく雄大な船舶。テクノロジーでカタチを整えた鉄の塊を山ほど乗せて
夕暮れの黒く静かな海
そして埋立地の風力発電センターに林立する無数のプロペラ
コンテナターミナルに連なる巨大なクレーン
みんな影になって眠りにつく
喜びも黄昏も幸福も虚像も、全ては今日また暮れる空が見せた夢のまた夢
帰る家も港も国も、全ては今日また生きる場所に刻む存在の証明
いつだって一人じゃ生きられないのに、不意に孤独を求めて走り出そうとするのを理性の鎖で繋ぎとめて
いつか行こうと思っている場所ばかりが増えてゆく
流れ星のように燃えて、紙ヒコーキのように沈む
そして地球に落ちてゆく
SF
公開:20/01/16 18:57

ダイナマイト・キッド( Twitter アルファポリス ハイパーグラウンド 小説家になろう )

ダイナマイト・キッドです!プロレスと映画とラジオと漫画、小説が好きです
Twitter
@kidsousaku(お気軽にフォローしてね)
アルファポリスでエッセイほか掲載中
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/376432056
小説家になろうにて怪談「タクシー運転手のヨシダさん」連載中
https://ncode.syosetu.com/n1565dp/
ハイパーグラウンドにて毎週月曜18時から
不思議系小説ニューシネマ・パラダイスシティ連載中
https://hyper-ground.com/
宝島社文庫より廃墟の怖い話(怪談アンソロ)も発売中です
よろしくね

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容