妻のカレー

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まずい。非常にまずい。
私は、妻の作ったカレーを前に頭を抱えていた。

「お鍋にカレーがあるから。あと猫に餌もお願い。夕方には帰るわ」
最近妻はよく出かけるようになった。元気に動き回るのは大変結構なことだ。
鍋にはちょうど1人分のカレーが入っていた。
「またカレーか」
今日のはあまり美味しそうじゃないな。

こいつは本当にまずい。
どうする。妻が帰ってくる前になんとかしないと。
ゴミ箱に捨てるか。いや駄目だ。
やはり庭に埋めるしかない。
「どういうこと」
私はハッとして顔を上げる。妻が立っていた。
「は、早かったんだな」
妻はゆっくりとこちらに近づいてきた。
床に横たわる猫を抱き上げる。
「餌の場所がわからなくて、つい。でもまさかカレーだけでこんな」
「あなたは食べなかったの?」
「あ、ああ」
「そう」
妻の残念そうな様子に、私は自分を責めた。

本当に――。

運が良かったわね、あなた。
ミステリー・推理
公開:20/01/16 18:52
更新:20/01/16 19:24
意味怖 のつもり

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