ジューンブライド
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「毎年6月くらいになると、クロアリでも羽が生えて移住先を探して移動するのは知ってる? 適当な棲家が見つかったら、そこに定住するために羽を落としてしまうんだって。わたしも、ここがいいなって思ったの。あなたはとても優しそうだし、めんどうを見てくれそうだし。」
梅雨の晴れ間の月が無い夜、天の川のような淡く光り輝くベールに包まれた彼女は、空から舞い降りて来るなり、突然そう言った。
とまどう僕にテキパキと彼女は話をすすめる。
「大丈夫。あなたの魂はわたしが責任を持って天国に連れて行くから。それまでの間、何十年かは言えないけれど、わたしと楽しく過ごしましょう。そういうことで、今はこのつばさは要らないからしまっておくわね。」
こうして、なんとも不思議な“6月の花嫁”が僕のところへやってきたのだった。
梅雨の晴れ間の月が無い夜、天の川のような淡く光り輝くベールに包まれた彼女は、空から舞い降りて来るなり、突然そう言った。
とまどう僕にテキパキと彼女は話をすすめる。
「大丈夫。あなたの魂はわたしが責任を持って天国に連れて行くから。それまでの間、何十年かは言えないけれど、わたしと楽しく過ごしましょう。そういうことで、今はこのつばさは要らないからしまっておくわね。」
こうして、なんとも不思議な“6月の花嫁”が僕のところへやってきたのだった。
ファンタジー
公開:20/01/15 13:00
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「つばさの行方」に応募したもの
武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。
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