創作 日本昔ばなし 魚と小判

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むかしむかし、あるところにこん吉という狐がおった。
ある日こん吉は、丸く腹の出た、どんくさそうな男を山道で見つけた。
見れば、かごにたくさんの魚を入れて、市場にむかっているようじゃ。
こん!
人間の娘っこに化けると、こん吉は男に話しかけた。
「もし、そこのお方、かごごとお魚を売ってくださいませんか。どうしても入りようなのです」
娘が小判を一枚さし出すと、男の目の色が変わった。
「こんなにもらって、本当にええのか?」
さて、男と別れて、さっそく魚を食べようとすると、かごの中は葉っぱしか入っとらんかった。
くそ! してやられた!
そのころ、べつの場所ではいつも人間をだましてあそんでいる狸のたぬ吉が、ふところをまさぐっておった。小判をとり出そうとすると、それはただの葉っぱじゃった。
くそ! してやられた!
こうして二匹はどちらも人間様が怖くなり、もう悪さをせんようになったそうな。

おしまい。
ファンタジー
公開:20/01/14 09:55
日本昔ばなし 小判

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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