一歩先
2
4
銃声。火薬のにおい。そこで出遅れたことに気付いた。両隣のランナーは既に僕の先を行っている。白線に導かれるようにまっすぐ走る短距離走において火薬のにおいまでわかってしまうのは致命的だ。
呼吸よりも優先的に、心臓を大きく動かして全身に血液を送り、空気を切り裂く弾丸のように、懸命に足を動かす。
一歩踏み出すごとに足は重くなっていく。筋肉が千切れ、骨が軋み、意識も薄れ、倒れそうになって、踏み止まる一歩をまた踏み出す。
無限のように長いレーンは五十歩を数える前に終わった。徐々に足を緩めていく。必要以上に酸素を欲しがる体に強制されて思い切り息を吸い込むと、力が抜けて足がもつれて転んだ。トラックのざらりとした感触が頰を撫でる。
転ぶ直前、最後に見たのは背中だった。負けたんだと思った。
たったの一歩先。果てしなく遠い一歩だった。
よし、深呼吸をしたら差し出された手を握り返して僕の一歩先にいる君を讃えよう。
呼吸よりも優先的に、心臓を大きく動かして全身に血液を送り、空気を切り裂く弾丸のように、懸命に足を動かす。
一歩踏み出すごとに足は重くなっていく。筋肉が千切れ、骨が軋み、意識も薄れ、倒れそうになって、踏み止まる一歩をまた踏み出す。
無限のように長いレーンは五十歩を数える前に終わった。徐々に足を緩めていく。必要以上に酸素を欲しがる体に強制されて思い切り息を吸い込むと、力が抜けて足がもつれて転んだ。トラックのざらりとした感触が頰を撫でる。
転ぶ直前、最後に見たのは背中だった。負けたんだと思った。
たったの一歩先。果てしなく遠い一歩だった。
よし、深呼吸をしたら差し出された手を握り返して僕の一歩先にいる君を讃えよう。
青春
公開:20/01/13 18:37
深く考えずにふわーっとした空気感で書きたいです。ログアウトしてはパスワードを忘れる日々。
ログインするとコメントを投稿できます