転校生は鬼

転校生が来た。
真っ赤な顔に、頭から1本の角が生えた鬼だった。
鬼は、とても優しい子だった。

学校の子ども達は、鬼をとても嫌がった。
理由は単純、鬼だったから。
「鬼はとても嫌な存在だ」と聞いていたから。

鬼は子ども達と遊ぼうとした。話しかけようとした。友達になろうとした。
けれど、子ども達は鬼を睨んだり、悪口を言ったり、殴ったり、物を隠したりした。

そんな日々が何日も何日も続いて、ある日とうとう、鬼は怒った。
仲良くしたいだけなのに、何も悪いことはしていないはずなのに、どうしてみんなひどいことばかりするの。
鬼はクラスで暴れた。
鬼は、怒りながら泣いていた。

暴れる鬼を見て、子ども達は思った。
「聞いていた通り、鬼は嫌な存在なんだ」
それから子ども達は、ますます鬼を嫌った。