もちもちおにぎりの秘密

30
23

私が幼い頃母が病気で亡くなったので、平日は父が帰宅するまでいつも祖母と過ごした。
祖母の得意料理はおにぎり。中身は梅干しや昆布、そしてただの塩握りだったりしたけど、いつも絶妙な塩加減で不思議と普通のおにぎりよりももちもちしていた。
私が中学生の頃、お昼御飯に祖母と一緒におにぎりを握った。けど、同じ材料で同じように握ってるはずなのに、やっぱり出来上がったおにぎりは味も食感も全然違った。覚えているのは、祖母はその時自分の両手を見て、微笑んでいることだった。
私の結婚が決まり、祖母は旦那さんに美味しいおにぎりをこしらえてあげて欲しいと私におにぎりの秘密をやっと教えてくれることになった。
「あんたはこの子達の仲間じゃけぇ」祖母はおにぎりを握るように右手と左手を丸く重ね、その隙間を覗くように私に指示した。

そっと覗くとそこは月の表面みたいになってて、お餅をついている兎がこちらに気づいて手を振った。
ファンタジー
公開:20/01/15 19:00
更新:20/10/03 12:51
スクー 手の中のクレーター

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容