マンホールBAR

ある日、近所のマンホールの蓋に「BAR入り口」と書かれていた。

ただの落書きだと思ったが、何度も見るうちに気になりだし、あるとき私は思い切って蓋を開けて中に入ってみた。

果たしてそこにはバーがあった。

落ち着いた雰囲気でマスターも感じの良い人だった。私はすぐにこの店が気に入り、月に数回通うようになった。

ある週末、その日も私は仕事帰りに店に立ち寄った。数杯飲んで帰ろうとすると、入り口の蓋が開かない。

「車でも停まってるのかもしれません。ゆっくりしていってください」

マスターもそう言うので、私はもう１杯頼んで時間を潰すことにした。しかし数時間経っても蓋は動かなかった。翌日も、翌々日も蓋は動かなかった。

それから数か月になるが、私はまだバーにいる。