黒い錠前

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気がついたのは、この前。
マンションの壁に沿った雨樋の接続部に、錠前がぶら下がっていた。
それは、黒く大きなもので、数字を合わせて開けるタイプだ。
ぶら下がっているだけで、他に何も付いていない。
いつからここにあったのだろう。
ただの鍵のくせに、買い物の帰りに、フッと見る癖がついてしまったじゃないか。
1度だけサラリーマン風の若い男性が近寄っているのを見かけた。
それによって、また妄想が膨らむ。
何かの取り引きのための暗証番号?
怪しい銀行口座番号?
不倫相手との約束の時間?
気になり出すと、通り過ぎるたびに見てしまう。
相変わらず、何も付いていないただの鍵。
推理小説なら、スパッと解決するのだろうけど、残念ながら謎のまま。
鍵は、ある日突然消えてしまった。
私が導いた答えは。
「ゲームのレベル上げバイトのためのパスワード」というものだった。
ミステリー・推理
公開:20/01/15 01:46

ibara_hime

文章を削る練習をしています。
妄想は得意。感想は苦手。   ・・・・・・です。

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