成長

2
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「はい、ポーズ!」
母親に手を引かれ、無理やり向かった入学式。仏頂面の俺の両脇には、満面の笑みを浮かべる両親がいた。
「ツトム!早く来いよ!」
俺を呼ぶのはワルの飯塚。
「おう!」
両親をキッと睨むと、駆け足で飯塚の元に向かう。
「記念撮影か?」
ニヤニヤと笑う飯塚はこういう意地悪なやつだ。
「親が写真撮るってうるさくて」
ちらりと両親を見る。少し寂しげな顔をしていたが、何も言われなかった。

「はい、ポーズ!」
無理やり息子の手を引き、向かった入学式。隣にいる息子は今にも舌打ちをしそうである。そんな息子の両脇に妻と俺は立つ。高校生だなんて、あんなに小さかったのに…こみ上げる気持ちを抑え込むために、満面の笑みを浮かべた。
「タケル!来いよー!」
息子を呼ぶのはワルで噂の竹田だ。
「おう!」
竹田の元へ駆ける息子。少し振り向いたあの子は、もう大人な顔をしていた。俺は、ちっとも寂しくないぞ。
その他
公開:20/01/14 19:36

みみ

むかし話、おとぎ話が小さい頃から大好きです。
誰かの目に留まるような物語が書けるように頑張ります!

コメントや☆をつけてくださる方、本当にありがとうございます。嬉しいなぁ、幸せだなぁと心から思いますm(_ _)m

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