黄ひげの凡人

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赤ひげは医者、青ひげは得体の知れない殺人鬼…◯ひげと名の付く者は、どんな形であれ有名なのに。黄ひげの俺ときたら何にも取り柄がない。ただ若い頃から生えてくるひげが黄色いだけだ。

「俺でもなれる有名人」
そんなフリーペーパーを見つけた。そこに書かれていたのは一言のみ。
「できることを見つける」
街を歩くと空き缶が俺の足に当たった。仕方なくゴミ箱に捨てると、頭の歯車が動き出す。
「見つけた…!」

それから電車で席を譲ったり、ゴミ拾いをしたりした。俺は地方新聞の取材を受け、その後ネットニュースにもなったのだ。
「黄ひげのジェントルマンと呼ばれていますが、どんなお気持ちですか?」
「嬉しいですよ。そのためにやってるようなもんですから」

次の日、新たなネットニュースの見出しに目を奪われた。
「黄ひげのジェントルマン、見返りを求め、偽善の限りを尽くしていた!?」

…俺、有名人、向いてないかも。
その他
公開:20/01/14 19:03

みみ

むかし話、おとぎ話が小さい頃から大好きです。
誰かの目に留まるような物語が書けるように頑張ります!

コメントや☆をつけてくださる方、本当にありがとうございます。嬉しいなぁ、幸せだなぁと心から思いますm(_ _)m

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