「おみくじを引く木下君」に乱入する紳士

16
8

木下君が二つ目の百円硬貨を探していると、一人の紳士が現れた。
「気合いが足らない! 私が本家の力を見せてやる!」
「え? 本家ってなんスか……え?」
戸惑う木下君の前で紳士はジャケットを脱ぎ、ワイシャツを腕まくりした。
「よく見ておくがいい」
頭に鉢巻を巻き付け、ギュッと締めつける。
拳を胸の前で交差させると、瞼を閉じて息を吸い込んだ。
「はっ!!」
両腕を開くと同時に、紳士のワイシャツのボタンが弾け飛び、下着のシャツもビリビリに裂けた。
武天老師を思わせるマッチョな肉体。
世界を統治する偉大な力の全てがそこにあるかのようだ。
「はぁあああ……」
筋肉が紅潮し、隆起して、野太い血管を浮き上がらせ、鬱血した顔は今にも爆発しそうだ。
「はぁああああぁあああああああぁあああ!……はっ!!!」
社務所が謎の力で吹き飛び、一枚の紙が舞い降りる。

大吉だ——。

木下君は一言呟いた。
「……師匠!」
その他
公開:20/01/12 19:07
木下君 おみくじ 例の紳士 社務所は謎の組織が修繕しました

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容