猫と煙

その野良猫は人が大嫌いでした。
神様を信じて祈りを捧げたら、自分だけは助かると信じている。
そんな人を野良猫は馬鹿にしていました。
この野良猫もかつては神様を信じていました。
遠い異国の地ではバステトという猫の女神がいる事を聞いていたからです。
人に神様がいるんだ。猫にだって神様がいて当然だ。
そう信じていた頃は幸せでした。
ご飯をくれるあの人は神様？
しかし、野良猫が子供を産み始めると途端に煙たがって追い出しました。
住処を提供してくれるあの人は神様？
しかし、ここにいる野良猫は皆殺されてしましました。
野良猫は人が信用できなくなりました。それと同時に野良猫には神様なんていないんだと理解しました。
だから野良猫は決めました。野良猫に神様がいないのなら自分が神様になってやろうと。
この野良猫が神様になったかどうかは分かりません。
ただ、野良猫を虐めると天罰が下るようになったのは確かです。