脱・お熱いのがお嫌い

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雪山で道に迷った男の前に、雪女が現れた。
「人間よ、何しに来た」
「えっと、道に迷ってしまって」
「また私を利用しに来たのか?」
「利用なんてそんな。本当に迷っただけで……ん?」
「な、何じーっと見てんのよ。ハッ、まさか一目惚れ!?」
「いえ、そのオデコ」
「あ、これ? 冷えピタ」
「冷えピタ!?」
「ちょっと熱出しちゃって。これ貼っとかないととけちゃうのよね」
「ふーん」
べりっ。
「……え?」
雪女は自分の額に手をやる。
「ちょっとあんた何剥してんのよ! とけたらどうするって、まさかあんた」
「これ湿布ですよ」
「へ?」
「湿布」
「あ~、そういえば肩も凝ってたからついでに買ったんだった」
「なんだ、別にとけなかったんじゃないですか」
「いえ、とけたわ」
「え? どこ?」
「あなたへの誤解がね♡」
自分のドジを良い話にして誤魔化そうとしてる。
男はそう思ったけど大人なので黙っていた。
その他
公開:20/01/12 18:27
秋田柴子さん 雪女 冷えピタ 勝手に拝借 失礼しました

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