水の上の非日常

自分にとっての非日常は、誰かの日常で、取るに足らないものだ
私にとって水上マーケットがそれにあてはまる

ボートの通る運河沿いにずらりと並ぶ商店街
すれ違うボートの上でも揚げバナナやココナッツアイスを販売している

「裏ツアー、イク？」
のんびりと運河を進んでいると、船頭が話しかけて来た
裏ツアーだと？
その響き、ワクワクしかない
水族館によくある裏側を見せるツアーだろうか
「オモシロイヨ」
彼がそう言うと、ボートはオープンカーのような屋根に包まれた
そして徐々に沈んでゆく
まるで潜水艦だ
側面には窓がついていて川の中が見える
やはりナマズやライギョが多い

ふと後ろを見ると、皆、反対側の窓を見ていた
何があるんだ

え！

そこには倉庫があり、酸素ボンベを背負ったダイバーが作業をしていた
浮力を使って大量の段ボールを簡単に運んでいる

「水上マーケットアルトコロ、水中バックヤードアルヨ」