小さな午後の物語

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全身に虹色の花をまとったクジラが、鈍色の海から顔を出す
困った顔したお日様が作ってくれたサンロード
記憶の海を深く深く、やり直しの効かないところまで
昨日よりも深く深く、やり直しが効かなくなってしまうまで
冬らしく雲の硬い青い空が少しだけ和らいで、陽射しを溶かしたカフェオレに映って湯気を立たせてる
小さなカップの小さな空は小さな午後の物語

死んだように静まり返る真冬の海。冷たく平坦な水面が灰色の空の彼方までのっぺりと続いている。波風は立たないが生きている意味も、希望も、可能性も感じない、この感じ。砂まじりの突風が吹く長い長い坂道の向こうに、そんな無表情な海を見て思い浮かべる昔好きだった人の顔

何をどうしてもムダだった、と気づいてからは一日が果てしなく長かった
初めは朝が来るのが嫌だった
しまいには夜まで嫌になった
この先どうしよう、と思うだけで何もかも面倒くさくなって、冬の海だ
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公開:20/01/13 15:01

ダイナマイト・キッド( Twitter アルファポリス ハイパーグラウンド 小説家になろう )

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