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事業部の里志くんが、“ヘンな資格”を取ったらしいと、会社内で噂になった。
同僚が尋ねると、里志くんはすまして答えた。「ウン、修正士だよ」
彼はなんと、修正液の使い方をマスターする資格の試験に合格したのだ。
「修正士」は、書類の文章の誤字や余分を、すばやく的確に「消す」技能だ。
「修正液」と「修正テープ」の2種のコースがある。
日ごろ小言が多い、里志くんの上司は彼に言った。
「資格もいいが、キミ、実用性に乏しい資格なら意味がないよ。今は紙の書類よりデジタルの文書が、云々」
と言いかけ、フト見ると、彼はもう立ち去っていた。
修正士は、無駄な部分をサッと見極める能力が磨かれており、今の会話を彼は「ムダ」と判断したからだ。
以後、里志くんの上司は小言の回数を減らした。
だらだら小言を続けると、やがて「不要」と判断され、自分の存在自体を消されてしまうかも。
なんとなく、そう思ったのだった。
同僚が尋ねると、里志くんはすまして答えた。「ウン、修正士だよ」
彼はなんと、修正液の使い方をマスターする資格の試験に合格したのだ。
「修正士」は、書類の文章の誤字や余分を、すばやく的確に「消す」技能だ。
「修正液」と「修正テープ」の2種のコースがある。
日ごろ小言が多い、里志くんの上司は彼に言った。
「資格もいいが、キミ、実用性に乏しい資格なら意味がないよ。今は紙の書類よりデジタルの文書が、云々」
と言いかけ、フト見ると、彼はもう立ち去っていた。
修正士は、無駄な部分をサッと見極める能力が磨かれており、今の会話を彼は「ムダ」と判断したからだ。
以後、里志くんの上司は小言の回数を減らした。
だらだら小言を続けると、やがて「不要」と判断され、自分の存在自体を消されてしまうかも。
なんとなく、そう思ったのだった。
その他
公開:20/01/13 13:55
更新:20/01/13 21:51
更新:20/01/13 21:51
雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。
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