タイムカプセル

2
5

 強い風が吹いている。枝に繋がれた葉が揺れて重なりざわめいた。
 ふと、海に視線を向ける。水面は深い緑を反射して古い油絵のように波打った。
 
 視界に黒い線がノイズのようにかかる。季節を越える前に切る決心をしていたのに寂しさが足を縫い止めた。
 一陣の風が通り抜ける度、乾いた唇に赤が触れる。ダサいと思ったこの服も実はそんなに悪くなかった。
 
 毎日通る道も、そこから見える海も。他人の為に伸ばした髪も、リボンタイに憧れたことも。
 

 青春は明るくて暗い。温い陽射しの背中に影ができるように。ただ、それは幾つになっても変わらない当然のもの。
 けれど、10代に浴びた陽の光は、人生で一番眩しくて濃い影を作り出す。何十年たっても褪せないものになる。
 
 あの時間を過ごした皆で二十歳を祝った今日、もう何度目かわからない集まりで。
 

 私は、やっぱり君が好きだったんだなあって思ったよ。
青春
公開:20/01/13 02:15

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容