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私には悪魔が憑りついている。その悪魔を鎮める為に私は定期的に生贄を捧げなくてはならない。
今回もその辺にいた猫を捕まえると儀式の準備を始める。罪悪感などとうに忘れた。
死にたくない!その一心で始めた生贄の儀式ももう慣れたものだ。
燃え滾る炎。立ち上る煙。さあ、悪魔よ。私の代わりにこの猫の命を捧げます!
炎の中から現れた悪魔は腕を伸ばすと猫を摘まみ上げ、口の中へと放り込んだ。
ん?悪魔の様子がおかしい。苦しんでいる?
「よくも今まで仲間達を食ってくれたな!お返しだ!」
悪魔の口からそんな声がしたと思うと猫が飛び出した。
この猫は一寸法師のように悪魔を体の中から退治したというのか。
私に憑りついていた悪魔は猫の猛攻に私から離れて行った。
涙が出た。私は助かったのだ。もう悪魔に怯える事はない。
私は猫に礼を言った。そんな私に猫は言った。
「次はあんたの番だ。よくも今まで仲間を生贄にしてくれたな」
ホラー
公開:20/01/10 18:17

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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